「まだあるから」
「まだ?」
「俺いっぱい食べたいし飲みたいから」
■Side-C:チャンミン
「どうぞ」
ドアを開けてくれた名前は、またさらにエロさに磨きがかかっていた。ついさっきまで、乱れていたような甘さを感じる。
なんだかな、この娘。会うたび、ヒョンの女だってわかってるのに、ちょっかい出したくなる。
「邪魔しちゃって、ごめんね」
「ううん。私も、会いたかったです」
タッチの差で部屋に着いたユノは、名前の何気ないそんな一言に、ちくっと来たらしい。気づかない振りで、促されるまま部屋に入る。
きれいな部屋。3LDK? あちこちに赤いバラの花が活けてある。
俺が買い込んできた食べ物を、皿に移してくれる。グラスも3つ。
「ウィハヨ(乾杯)」
■Side-B:ユノ
チャンミンは本当に寂しかったのか、よくしゃべったし、よく笑った。よく食べて、飲んだ。名前を隣に座らせて、お酌させて、飲ませて、そういうのはやっぱりあんまりいい気はしないけど、久しぶりにリラックスしてるチャンミンを見た気がした。
チャンミンがこの前、名前も結構飲めると言ってたけど、ほんとそのとおりで、思った以上によく飲んだ。飲むけど、酔わない。もともと強いのかも知れない。
「名前」
チャンミンの隣で笑ってる名前を呼ぶ。「はい」と返事をして、俺のところに来ようとするのに。
「カジマ(行くな)」