抱きしめられることが、口付けられることが、こんなに幸せだなんて。
思わなかった。ユノさんに触れられて、私は。
ようやく、過去の記憶を溶かしていく。
私に初めて触れたときの、あなたは。
とても優しく、慈しむように触れてくれた、けれど。
時々乱暴に、興奮して激しく私を、抱いたことを。
思い出す。触れられるたびに、うれしくて。
体中、どこを触られても。
とても、心地いい。その愛撫に、はしたないほど、声が漏れそうになって。
指を噛む。私の手を、ユノさんの手のひらが、包む。
「我慢しないで。全部、聞かせて」
手を、外されて。
腕を広げられる。そのまま、あちこちに吸い付かれて。
恥ずかしくて、逃げたい。でも。
のしかかられて、動けないまま。
その唇で、舌で。手のひらで、指先で。
繰り返される愛撫に、我を忘れて声を上げ、しがみつく。
名前、愛してる。じっと、見つめられて。
口付ける。舌を絡めあう。やっぱり・・・好き。
あなたじゃなきゃ。
こんなに、感じない。
足を、するりと持ち上げられて。
あなたが、入ってくる。
その瞬間だけで、鳥肌が立つほど。
感じて、もう。
頭が、真っ白になる。今、お前を抱いているのは、誰?
お前が今感じてるのは、誰? どこか遠くから聞こえるような、甘い囁き。
ユノ、好き。何度も。
繰り返す。あなたが波を打つ、度に。
深みに、はまってく。あなたに堕ちてゆく。
あなたが、私だけのものなら、いいのに。
きつく、抱きしめあう。背中に、あなたの爪が、刺さる。
何度も、突き上げられて。
苦しくて、うれしくて、とても。
感じて、気が、遠くなる。
好き。体を、のけぞらせて。
熱い想いを、受け止める。
すっと、涙が零れた。